見たよ
新宿の雑踏に
たたずむ君を
 
あれから幾つめの秋
  
紀伊国屋で
ほしい本に
手がとどかなくて
背伸びしていた私
君はなんなく捕って
渡してくれたね
 
それから
毎週木曜日に
君も
私も
そのコーナーにいたね
 
いつしか
言葉を交わし
いつしか
手を繋ぎ
なにに笑っているのか
わからぬままに
二人笑って
新宿を漂っていたよね
 
高校生の私には
院生の君は
大人すぎて
眩しくて
いつも
いつも背伸び
あの本の前のように
きっと
背伸びしすぎて
疲れたのかな
 
無口になった秋に
君も
私も
それぞれ歩き出した
 
その君を
見たよ
あの雑踏の中で
 
気付いて欲しい
気付かないで
 
人待ちの君を
ショーウインドウ越しに
見つめていたよ
 
蘇る香り
あのコロンを
今でもつけていますか

別れた後も
雑踏の中で
あの香りに
何度
振り返ったでしょう


お待たせの声に
振り向く君
その笑顔は
あのときのまま
 
笑顔の先には
同僚?
素敵な人が
現れるのを
待っていたのに
残念

そう
もう
私も背伸びはしない
振り返りはしない

君は
優しくあろうと
今でも
あくせくしているのですか
 
 
 
ガラスごし
なつかしかおり
よみがえる
ふらりたちよる
きのくにや5かい

 
 
硝子越し
懐かし香り
甦る
ふらり立ち寄る
紀伊国屋5階



ぎんなんを
ひろいあつめて
なげあって
においにふきだす
じんぐうのもり
 

銀杏を
拾い集めて
投げ合って
臭いに吹きだす
神宮の森





  

月一夜

2007年9月26日
 
 
名月浮かぶ 
 
羽田沖 
 
銀色の翼が
 
きらきら一機
 
また一機
 
 
見慣れた景色
 

一人で見る風景は
 
記憶となり
 
いつしか
 
忘却の闇に消える
 
君と見た風景は
 
思い出となり
 
いつしか
 
心の疼きに
 
 
 
つきをめで
 きみをめでたる
  あきのよは
   むしのねきえて
    ふたりのかたり
 
 

月を愛で
 君を愛でたる
  秋の夜は
   虫の音消えて
    二人の語り
 
  
 
 
 
 
まだ
 
雀が寝ぼけている
 
薄暗い朝
 
肩をすぼめて
 
静かな街を 
 
歩く
 
ひやっとした
 
風が
 
髪をすくう
 
 
色づき始めた
 
欅の葉のにおい?
 
アスファルトを転がる
 
銀杏のにおい?
 
乗るはずだった
 
バスの
 
排気ガスの臭い
 
おもわず
 
顔を上げる
 
 
風が運んでくる
 

 
 
風に吹かれるのがすき

 

あきたけぬ
 よあけのときを
  きてすぎる
   かそかなるかぜ
    かすかなるわれ 
 
 

 
秋たけぬ
 夜明けのときを
  来て過ぎる
   かそかなる風
    微かなる我
 
 
 
 
 
 
 
    

秋さる

2003年9月17日
 
 
ひょいと
 
見上げた空
 
 
どこまでも
 
 
たかく
 
 
たかく
 
 
秋にじむ
 
 
滲んで
 
 
紅に
 
 
暮れないに

染まりて
 
 
月を待つ
  
 
 
 

つきあびて
 かぜにたわむる
  ぎんのほが
   さざなみおおなみ
    やみよにうねる

 
 
     月浴びて
      風に戯むる
       銀の穂が
        小波大波
         闇夜にうねる

月にくびったけ

2002年10月3日
 
  
 
 

目を閉じて
 
月を
 
思い浮かべる
 
 
 
 
 
 
 
まちかどで 
 つきにむかいて
  せのびする
   ふりむきしかげ
    なきむしうさぎ
 
 
 

      街角で
       月にむかいて
        背伸びする
         振り向きし影
          泣き虫兎

 
 
 
 
ひとくちを
 のこしてきみに
  くちうつし
   ただようにおい
    しんしゅのまろみ

 
 
 
      一口を
       残して君に
        口移し
         漂う匂い
          新酒のまろみ
  
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 

秋の居眠り

2001年10月23日
高い空の

そのむこうから

ごきげんな

お日さまが

照らしてる

季節が

立ち止まって

ぬくぬくと

まどろむ
 
 
 
 
 
 
まどろみの
 こころのおくの
  ゆめのうた
   こよいよいゆめ
    さそうこもりうた
 
 

     微睡の
      心の奥の
       夢の歌
        今宵良い夢
         誘う子守唄
 
 
 

ありがとう

2001年10月20日
時は



刻々と

かわりゆく

空の色

どこまでも晴れ渡った

その空の

その果てに

ふくらんで

弾んだ心が

飛んでいく

ふんわり

ふんわり

とびさって

みえなくなった

ぷしゅん

小さなあなが

心を

しぼませて

ちいさく

ちいさく

しぼんで

硬く

いがいがの

石に

体中を

駆け巡って

痛みに



 
 
 
そんなとき
 ことばとことば
  とびかわし
   ふくらみはずむ
    ひだまりのなか 

秋の唱

2001年10月2日
どこまでも

高く

高く

澄んだ



聴こえますか

トンボのとまった

電線が

秋の風に

揺れて

密かに

うたっている

謳っている
 
 
 
 
 
 すきあらば
  みはてぬゆめを
   おいかける
    じゆうにいきる
     そんなふじゆう 

 
 
       隙あらば
        見果てぬ夢を
         追いかける
          自由に生きる
           そんな不自由

 
 
 
 
 
 
 
     

あきだから

2001年9月30日
きっと

そう

あきだから

きみの

ことばだけで

うれしくなって

そして

 
 
 
 
そして

 
 
 
かなしくなる 
 
 
 
 
 ゆれるのも
  ものおもいの
   あきだから
    そんないいわけ
     つぶやいてみる
 
 
 
 
       揺れるのも
        もの思いの
         秋だから
          そんな言い訳
           呟いてみる 
 
 
 
 

宵月

2001年9月28日
満ちた月は

あまりにも

心を奪う

だから

まだ

満月にも

間があるのに

あの

細い

ほそい

月を待つ
 
 
 
 
 
 
 

  つきあびて
   きばむくこころ
    なであげる
     ふるえるてのひら
      きみのせのうえ
 
 
 
        月浴びて
         牙むく心
          撫で上げる
           奮える手のひら
            君の背の上
 
 
 
 
    
 
 
 > 凛さん
  リンクありがとうございます
  ただいま、相互枠がいっぱいで
  こちらからはることができませんが
  読ませていただきました
  つたない歌ですが、これからもよろしく

  
   
   

露の華

2001年9月6日
葉の上に

天の雫が

転がり落ちて

小さな

水の玉になる

その名をろか

露華とかきます

朝の光に

ゆらめく

露華が好き

やさしい気持ちにしてくれるから

でもね

この季節

月の光を浴びた

露華

月露は

妖しげで

その水滴の中に

引き込まれそう

満月の晩

のぞいてみませんか 
  
 

てをとりて
 みつめるさきは
  つゆのはな
   あやしのひかり
    ふたりかなたへ

      手をとりて
       見つめるさきは
        露の華
         妖しの光
          ふたり彼方へ 
 
 
 
 

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